超マイペース更新ブログです。気軽にコメントしてね。


by missiontomars

『真夏の方程式、見てきました。』の巻

ガリレオ劇場版「真夏の方程式」を鑑賞してきました。
なかなか面白かったです。ドラマの方は、あまりにも
トホホな質の脚本続きでしたが、今作は容疑者Xの献身
同様、東野圭吾原作の映画化だけあって、ドラマ版とは
一線を画していますね。

 払ったお金分の価値は十分にあると思います。ただ、
「ここはどうなの?」と思う部分もない訳ではないです。




以下、大いにネタバレ含みます。
未見の方は、お読みにならない事をお勧めします。
読みたい方だけ、続きを読むをクリックしてください。




この映画の副題に「愛すべき嘘と、憎むべき真実」と言う
のがあります。
この「愛すべき嘘」と「憎むべき真実」が、それぞれ何を
指しているのか?その受け取り方によって、この作品の
印象は変わってくるのだろうと思います。

 愛すべき嘘と言えるのは、実の娘である成実(杏)を庇って、
自ら殺人の罪を被った仙波(白竜)の「嘘」でしょう。
冤罪を良しとするか否かの議論はあるにしても、
これは文句なく「愛すべき嘘」だろうと思います。

 問題は、これ以外の嘘が、果たして「愛すべき」嘘と
呼べるのか、疑問が残る点だろうと思います。

 例えば、仙波の子を宿しながら、それを夫である重治
(前田吟)に隠したままで、ずっと夫婦生活を続けた節子の
「嘘」は、果たして愛すべき嘘と呼べるのか?
疑問が残ります。

 また、仙波の嘘は愛すべきものだとしても、その嘘を
受け入れて、彼に無実の罪を今日に至るまで、背負わせ
続けた節子(風吹)と成実の嘘も、「愛すべき」ものと
言えるのか、疑問を感じます。

 深い親子愛であるとの見方も出来なくはないですが、
やはり、道義的、倫理的な問題を感じずにはいられません。

 一方の重治は、こうした節子(と成実)の嘘に気づいて
いながらも、その事は全て自分の心の中に留め、成実を
我が娘として受け入れて、節子の夫婦生活を続けます。

これ自体は愛すべき嘘と言って差し支えないのでしょう。

 重治の嘘は、愛する家族の為の、自己犠牲の精神である
訳ですが、しかしながら、いくらなんでも、無関係の
まだ幼い恭平(山崎)を犯行に利用して、あろう事か
決め手となる一手を打たせてしまうのは言語道断と言わざ
るをえないでしょう。

 愛すべき嘘でないどころか、今作最大の憎むべき真実が
これではないかと思います。その事が、重治の愛すべき嘘の
全ては台無しになってしまっているのではないか・・
そう感じました。それで良かったのか・・・。

 とは言え、恭平が重い十字架を背負ってしまう事が、
この作品の最大の核と言える部分であるので、ストーリー
上の必要悪と言うべきものなのかもしれません。

 とまあ、厳しい事をいろいろ書きましたが、全体的な
評価としては非常に面白かったです。

特に子供嫌いなはずの湯川と恭平との交流は良かった。
恭平を演じた子役の子、非常に上手かったと思います。

 「全てを知った上で、進むべき道を選択すべきだ。」
元々、成実の環境運動への姿勢に対して、湯川が語った
言葉ですが、これが作品に通底するテーマになります。
 
 自分がした事の意味を知ってしまった恭平は何を思う
のか・・。

 湯川の「講義」を聞いた恭平が、水にぬれた紙を火の
上にかざすとどうなるかに興味を抱き、コースターで
実際に試そうとした時、湯川は、それを箸でとっさに
弾き飛ばしました。

そのシーン意味が分かった時は、良いなあと思いましたね。

ある意味では、「全てを知った上で・・。」と言う
湯川自身の理念には反しているとの見方も出来るのですが、、
まだ幼い彼に、この十字架を背負わせるのは酷過ぎると
言う、湯川のとっさの優しさでしょう。 

基本的に湯川は情より理の人間なのでしょうが、決して
冷たい人間と言う訳ではない。

 あの場面では、湯川の中で瞬間的・本能的にに情が理を
超越したとも言えるし、そもそも情と理は決して二者
択一のものでも、相反するものでもない事が見て取れる
シーンでもあると思います。

 湯川は真実を解き明かした後、それを知った各々が
どう行動するかについては、深く干渉することはせず、
彼ら自身の判断に任せています。

 彼らがその後どう言う選択をするかは作中では、
はっきりとは描かれませんが、それでもモヤモヤした
ものを、さほど感じないのは、「全てを知った上で、
選択すべきだ。」のテーマにおいて完結しているから
でしょう。

 また、各々判断にまでは干渉しなかった湯川が、
唯一、恭平の将来に関わる部分についてだけは、成実に
自らの想いを託した所がとても良かったですね。



ところで、成実と節子が、何故仙波と離ればなれになり、
そして、ほぼ時を同じくして、重治と結婚するに至った
のか?
 その経緯が、最後まで殆ど描かれないままに終わって
しまったと思うのですが、原作ではしっかりと描かれて
いるのでしょうか?

 それこそが全ての悲劇の根幹にあるのであって、
そこを描かずに終わってしまうのは、ちょっとありえない
のでは?と思ったのですが。
[PR]
by missiontomars | 2013-07-08 07:28 | 感想・レビュー関連