人気ブログランキング | 話題のタグを見る

超マイペース更新ブログです。気軽にコメントしてね。


by missiontomars

『はやぶさ君、奇跡の帰還』の巻

 いや~、帰還しましたね、小惑星探査機はやぶさ。人工物が、
月以外の天体間を往復し、帰還を果たしたのは史上初。JAXA
(ISAS)が世界に冠たる大偉業を達成してくれました。本当に
素晴らしいの一言です。

 イトカワのサンプル採集に成功していれば、人類は初めて月以
外の物質のサンプルリターンに成功した事になります。
 小惑星は、太陽系誕生直後の姿を留めていると考えられるため、
そのサンプルを直接分析する事は、太陽系や地球の成り立ちの解
明に大きく役立つ可能性が高いです。

 その科学的意義には、とても興奮を覚えます。

 もちろん、それだけではなく、ただ単純に7年と言う歳月を掛けて、
遥か彼方の小惑星に到着し、幾多の危機を乗り越えて、地球までの
帰還した果たしたと言う事実、しかも小惑星のサンプルを持ち帰って
来ているかもしれない・・それだけで十分なロマンと言うものでしょう。

 残念なのは、これだけの大偉業にも関わらず、テレビなどの主要
メディアは、地球帰還の後になるまで、この事に殆ど注目していな
かったと言う事実です。
 
 ネット上では、はやぶさの偉業には随分前から注目が集まっていま
した。それはきっと、途中、想定内想定外含めて、様々なトラブルに
遭遇しながらも、それを様々な創意工夫で乗り切って来た、そのドラマ
性が大きいのでしょう。

  通信の電波がはやぶさに届くまで、(はやぶさが地球からもっとも
離れた時期で)片道20分を要します、往復で40分。したがって、地球から
の指示を待っているだけと言う訳にはいかず、はやぶさには自らの判断で
行動をする自律的な機能も備わっていました。

 その為、一部のファンからは「はやぶさ君」といった具合に、擬人化した
愛称でも親しまれました。

 リアクションホイールの故障、イオンエンジンの故障、2カ月程に渡る
通信不通と、それに伴う地球帰還予定の遅れ等々・・
 これだけのトラブルを乗り切って帰還を果たした事は、正に奇跡その
ものだと感じます。

 はやぶさ計画を率いた川口淳一郎教授は、帰還後の会見で同計画を
「神がかり的だった。」評し、「今、こうして(成功の)会見の場にいることが
夢のよう。」と語りました。

 ちなみに、こうした科学分野の研究開発費は、民主党の事業仕分に
より、削減されてしまいました。
 僕は、以前の記事でも書いたとおり、事業仕分については、大きく評価
しています。『2位じゃダメなんですか?』の一言だけをあげつらって、その
全てを否定しようとするのは、愚かな事だと思っています。

 事業仕分の意義は、『予算配分の透明化』でしょう。国の予算の使い方が
国民の監視の効かない場所で、決められていては、そもそも検証や批判を
加える事すら出来ない。
 『透明化』の意義は、おかしな予算配分があれば、そこに国民やメディアが
批判を加える事が可能な事です。そのウネリが大きくなれば、政府を動かす
事も可能でしょう。

 ですから、今回のはやぶさ帰還のニュースを見て、感動されたと言う方は、
是非是非科学技術開発の予算削減に対して、大いに批判を加えて頂だけれ
ばと思います。

 それは事業仕分に対する否定ではなく、それこそが事業仕分の意義の一つ
なのですから。

 まあ、本音を言えば、本来、こうした科学分野、とりわけ営利目的とは
一線を画した純粋な研究分野については、『成功したから予算削減すべき
でない、失敗したから予算削減を』だとか言ったチンケな世界ではあっては
ならない訳ですが。
(ここら辺の話については、2008年11月にアップした記事「『科学の存在
意義』の巻」で詳しく書いたので、ここでは繰り返しません。)

 日本の宇宙開発は、低予算の中、非常に大きな成果を上げています。
今回の「はやぶさ」はもちろん、ちょっと前に話題になった、月探査機の
「かぐや」しかり、今は金星探査機の「あかつき」などにも、様々な期待が
寄せられています。

 日本の宇宙探査はアメリカにおんぶにだっこと言う印象を持っている
人も多いようですが、冗談じゃない。
 確かに、有人探査については、そう言った現状ですが、無人の太陽系
探査などでは、独自に素晴らしい成果を上げています。

 今回の「はやぶさ」もそうですが、日本のメディアがこうした偉業を積極的
に報道しない事に対しては、本当に歯がゆい思いがします。
 
 これでは、国民の関心があまり育たないのもある意味で当然の話で
こう言う姿勢のメディアに、『2位じゃダメなんですか?』発言を批判するだけ
の資格と素養があるのか、大いに疑問を感じます。
by missiontomars | 2010-06-15 15:32 | サイエンスの話題